▶第7回プラチナ・ギルド アワード受賞者のご紹介(2019年度)


特定非営利活動法人  カフェまちづくりネットワーク 代表 竹内  弘道 

20年余の永きに及ぶ母親の認知症介護を経て,自身の経験から認知症とその家族のみならず広く認知症に関心ある人々も気軽に集える交流の場を作りたいとの強い思いから‘12年に自宅を改造し“認知症カフェ”を一人で立ち上げた。 東京都の資金的支援をベースに現在,目黒区に約7年で10ヶ所の拠点を展開・運営しており,認知症に関心を持つ人たちが介護・医療相談や情報交換等が出来る場所として日々多くの人々が訪れている(2018年度延参加者数3400人)。また情報誌の発行(年21万部)やイベント,セミナー等も開催している。DカフェのDにはDementia(認知症)Diversity(誰でも)District(地域)等の意味が込められている。現役時代に培ったマーケティングやプラニングのスキルを活かし,カフェの設計から地公体との連携,組織運営までこなすその姿は,元ビジネス・パーソンのセカンド・ライフの在りかたとして模範となる

 


特定非営利活動法人 女性ネットSaya-Saya  代表理事 松本  和子 

当NPOはDV等の暴力被害により困難を抱えた女性と子どもたちの権利を擁護し,被害者の人権を確立することを目的として活動している。受賞者は永年,精神科のソーシャルワーカーとして活躍した後,DV等に関する専門講座履修のためにカナダへ留学,その後当NPOを立ち上げた。数年前に都内某所に古民家を買い上げ,現在ここを拠点に活動している。①DV被害女性や子どもの自立支援・心理教育プログラム②ひとり親家庭の生活支援と子どもの居場所作り③シェルターの提供などの支援活動を行い,受益者数は2万人に及んでいる。こうした活動の一方,全国的ネットワーク構築や行政への更なる働きかけなどに取組んで行く方針だが,児童福祉法の整備,専門家の育成等課題は山積している。当時まだ陽の当たらないこの分野にいち早く焦点をあて,20年もの長きに亘って粘り強く活動し弱者に寄り添う姿勢は,まさに本邦におけるDV問題取組みの草分け的存在と言える。

 


特定非営利活動法人 ユニカセ・ジャパン理事長 中村 八千代 

  ユニカセは,マニラで貧困層に生まれた青少年たちの自立を目指し,受賞者が10年前に立ち上げたソーシャルビジネスで,自然食レストランの経営をベースに活動している。十分な教育を受けられなかった青少年たちに働く機会や収入を得るスキル,マナー習得まで幅広い指導をしており,これまで70名以上の青少年が巣立っている。 受賞者は大学卒業後海外留学をへて会社経営に携わっていたが,“誰かのために働きたい”との強い思いから30歳で国際協力の道を選んだ。NGOに参加し,発展途上国で青少年の雇用機会創出支援や食育事業が必要と痛感し,フィリピンでユニカセを立ち上げ,今では同国で活動する日本人のよろず相談役として中心的存在となっている。また‘13年には社会貢献を推進する青少年育成事業のため日本で当NPOを設立,NGOや企業とパートナーシップを結び,アジアの後進国を対象に日本人のネットワークづくりに取り組んでいる。受賞者のグローバルな視点での社会貢献活動の展開は真に受賞に値する。

 


特定非営利活動法人    きらりよしじまネットワーク 代表 高橋  由和 

山形県川西町吉島地区は県の南部に位置する21自治会/720世帯/人口2300人規模の地区で,国内に数多くある少子高齢化や財政難が進行している地域の一つ。受賞者は‘04年,これらの問題にいち早く危機感を抱き,スピード感ある対応と地域住民参加型の持続可能な組織を作るべきと考えて改革に取り組んだ。‘07年にNPO法人を立上げ,全世帯に会員として参加してもらう一方,自治・衛生環境から福祉・教育等を取り込み「地域の小さな役場」として行政の業務を代行している。スタッフは常勤6名非常勤30名で,県や町からの委託金と住民からの会費や寄付金で運営費の約8割をカバーしている。また,Uターン組の本活動への参加を熱心に勧奨し,次代を担う地元青少年の人材育成にも腐心している。本事例は地公体の業務をNPOに取り込むという他に類例のない活動であり,地域活性化の好事例といえる。受賞者の愛郷の思い,企業経験を活かした経営の視点,関係各所との粘り強い交渉力,実行力などは特筆に値する。

 



      特 別 賞 

株式会社 真夢農和 代表取締役 松倉 敬子 

  受賞者は松阪市内のお茶農家で,息子夫婦に世代交代した後,新たなやりがいを求めて61歳の時に近隣農家の主婦仲間7人で,地元野菜中心の農家レストラン『真夢農和(まむのわ)』を起業した。若い頃にヨーロッパ旅行で見たファーマーズマーケットに衝撃を受けたのが起業のそもそものきっかけだが,家業を子世代に譲った後は「毎日テレビの前が指定席」という隠居姿を想像してゾッとし,本事業を立ち上げた。素材の地味・滋養を感じさせる自然食は近隣のみならず遠方からも客を呼び、一日70食のランチは日々完売と盛況。率先垂範の受賞者のリーダーシップの下に,仕事と余暇を両立させる運営スタイルは時代にもマッチ。農家のシニア世代の起業・生き甲斐創出、農家の六次産業化といった切り口で三重県では女性のロールモデルとなっており,その起業家精神と先見性・行動力に対して特別賞として表彰したい。